恋占い


 

 エリアはじっと見つめる視線に気づいて、小さく息をはいた。

「なあに、リズ」

「ねえ、エリア。エリアって、占いやってるよね?」

「それで小金を稼いでいるわね」

「それって、私もお金を払ったら見てくれるってこと?」

 やっぱり、そう思ってエリアははっきりと言い切った。

「悪いけど、知り合いは見ない主義なの」

「なんで?!」

「ずっとそうしてやってきたのよ」

 ぶーとリズリアがふくれている。

 占いは、未来を、気持ちを、考えをまとめるために、一つの提案として出されるものだ。

 だが、エリアの場合は当たりすぎることが問題なのだ。

 全てが真実になると思われている。

 だが、そういうことばかりというわけではない。

 やはり、未来は自分で手に入れるものだと思うし、エリアの占いもまた、望む未来を手に入れるために最善の手段を講じるための一つの方法として用いているものだ。

(だから私は仲間の未来や恋は占わない)

 リズリアに、自分で勝ち取ってほしいから。

「リズー、ルカさんが呼んでるんだけど」

 穏やかな声がしてリズリアがさっと顔を上げる。

 リズリアが恋をしている相手だ。

「あ、今行く今行く〜!」

 ぱたぱたと部屋を出て行く。

 その背中を見て、エリアは苦笑した。

 そんなふうに、相手を、自分を変えてしまえる恋ってすごい。

「いいなぁ、リズは」

 素直に自分を出せるリズリアがうらやましい。

「難しいわ」

 自分がそうしたことが苦手なのを、だれよりも知っているから。

 ため息をもらしながら、エリアはカードをしまいこんだ

 

 

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